ゴリラについて学んでいく上で「シルバーバック」という言葉を避けて通ることはできない。今回はこのシルバーバックがどういうものなのか、何を意味しているのかについて見ていこう。
ゴリラの「シルバーバック」とは?役割を解説
結論から先に述べると、「シルバーバック」とはゴリラの群れのリーダーのことである。ボスと言ってもいい。
シルバーバックは文字通り背中が銀白色のオスゴリラを表す。ゴリラの群れを見つけた時、その中に背中から腰にかけて銀白色になっているゴリラがいたら、そいつが群れのリーダーだ。
ボスであるシルバーバックの役割は群れを守ることで、群れのゴリラたちを守るために常に注意を払い安全な場所を確保することが仕事だ。群れのメスゴリラや子ゴリラもまたシルバーバックに全幅の信頼を置いており、危険を察知するとすぐさまシルバーバックの後ろに隠れる。
シルバーバックは時にゾウや天敵であるヒョウと命を懸けて戦う。
また群れを守るということは他のシルバーバックや群れに属していないヒトリオスゴリラにメスゴリラを奪われないという意味も含む。そしてシルバーバックは群れのメスを守るためにオスゴリラ同士で戦い、その結果死亡してしまうこともあるのだ。
自分の大切なものを守るために自らの命を懸ける、それがシルバーバックと言えるだろう。
群れを守るというリーダー的な役割に加えて、シルバーバックは群れのゴリラたちがケンカした際に仲裁に入り群れの中の争いをいさめる役割も果たす。
子ゴリラたちはよく遊ぶが、ヒートアップしてケンカになったりいじめられたりすることもある。そんなときはシルバーバックがいち早く駆け付け、より身体の大きな方かケンカを始めた方を諫めてその場を収めるという。
ゴリラは何歳頃シルバーバックになる?
ゴリラの寿命はおよそ50歳ほどと考えられているが、身体の成長に伴って年齢ごとに大きく「0~3歳の乳児期」「3~6歳の幼児期」「6~8歳の思春期」「8~12、13歳の成熟期」「~50歳の老年期」の5つに区切られる。
成熟期の8歳ごろからゴリラは大人と見なされ、オスゴリラは「ブラックバック」と呼ばれるようになる。さらにブラックバックが成長するにつれて段々と背中の毛が白くなっていき12、13歳頃には立派なシルバーバックとなるのだ。
シルバーバックになる理由と意味!なぜゴリラは背中が灰色になるのか
オスゴリラの背中が白くなりシルバーバックになる理由は明確には分かっていない。ストレスによって白くなるという説もあるが、正しいかどうかは定かでないためむやみに信じることはおすすめしない。
オスゴリラの背中が歳を重ねるにつれて白くなってシルバーバックになるのは、大人になったオスライオンにたてがみが生えるように、ただ必然であることだと認識しておくといいだろう。
もしくはシルバーバックになるまで生き残り経験を積んでいるということが何よりの強さの証明になるから、と考えてもいい。
ゴリラはシルバーバックも子育てをする
群れのリーダーであるシルバーバックは子育てもする。とはいえ子ゴリラの身の回りの世話をしたり、お乳をあげたりするのではない。
子ゴリラは1歳頃になると母ゴリラのお乳以外のものを食べるようになるが、その時期になると母ゴリラは子ゴリラをシルバーバックの元に置くようになる。
最初は子ゴリラも母ゴリラを恋しがる様子を見せるが、シルバーバックの周りには少し年上のゴリラたちがいていつも楽しそうに遊んでおり、さらに優しく接してくれるシルバーバックを頼るようになることで段々と母親離れをするのだ。
子ゴリラを預かったシルバーバックが子ゴリラに対して怒ることはほとんどなく度が過ぎた場合になだめる程度で、遊んでいる子ゴリラたちを少し離れた場所から常に優しく見守っている。
子ゴリラはシルバーバックのあとについて生き方を学ぶ。シルバーバックのそばで眠り、自分でベッドが上手く作れない頃はシルバーバックのベッドに潜り込むこともあるようだ。
群れの子ゴリラの手本となり、そして危険が迫ったときには自らの身を呈して群れを守る。それがシルバーバックなのである。